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最優秀論文は伊藤麻由美さんに

 2012年度の卒業研究優秀論文発表会が2月12日、本学大ホールで開かれ、競技スポーツ学科スポーツ情報戦略コースの伊藤麻由美さん(豊田ゼミ)が発表した「学生アスリートのメンタルマネジメントに関する研究〜本学『MT塾』を対象として〜」が最優秀賞に選ばれた。優秀賞は同じ競技スポーツ学科のスポーツビジネスコースの西田珠里さん(吉田ゼミ)が獲得した。

 優秀論文発表会は今年で3回目を迎え、7コースからそれぞれ選出された論文は本学の大きな特色である実践的な研究に取り組んだものが多かったが、伊藤さんの最優秀論文、西田さんの優秀論文は、ともにコース代表にふさわしい研究成果をまとめた質の高さが評価された。
 一人10分間のプレゼンテーションで演者の4年次生は緊張した面持ちで、教員、在学生の前でパワーポイントを駆使して研究成果を披露した。また、この日は4月に入学するフレッシュマンの入学前教育の一環で、卒論見学が講義に組み込まれており、約30人が先輩らの発表に聞き入っていた。

伊藤麻由美

1.緒言
 MT塾は、講習会形式のメンタルトレーニング(Mental Training:以下MT)と一対一形式の個別セッションによって構成されている。 本研究は「MT塾をどのように体験するのか」というリサーチクエスチョン(Research Question:以下RQ)を設定し、質的に分析を行った。MT塾を体験した学生アスリートの語りから、発展継承可能で有益な仮説的知見を導き出すことを目的とした。
2.研究Ⅰ
 MT塾に参加した学生アスリート(17名)に一対一形式の半構造化インタビュー(30分程度)を実施し、rqⅰ「主体性をどのように強化するのかのもと質的に分析を行い、複線経路・等至性モデル(Trajectory Equifinality Model:TEM)を作成した。
 その結果、学生アスリートは「自己の弱点と向き合うことによって、主体性が強化されるという仮説的知見を導き出した。
伊藤麻由美 3.研究Ⅱ
 個別セッションにおいて著者(トレーナー)が担当した学生アスリート(トレイニー・2名)との取り組みを、ICレコーダーで録音し、rqⅱ「トレーナーとの関係性をどのように意味づけるのかのもとに質的に分析を行い、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(Grounded Theory Approach:GTA)を行った。
 その結果、トレイニーは「自己の悩みと向き合い、競技に必死に取り組むことで過去の自己を受け入れ、自分らしさを確めていくという仮説的知見を導き出した。Fig.1には「トレーナーとの関係性によって自分らしさを確かめていくメカニズム」を示した。
4.総合的考察
 研究Ⅰと研究Ⅱにより、本研究ではRQ「MT塾をどのように体験するのか」に対して、トレイニーは、「講習会形式のMTにおいて自己に対する主体的な関わりを強め、個別セッションにおいてトレーナーとの関係性により自分らしさを確かめていくことで、自立的な取り組みをする」という仮説的知見を導き出した。

西田珠里

1. 緒言
 近年、日本企業がスポーツアスリートを商品推奨者として広告活動に起用している。推奨者としてのアスリートに着目した備前・原田(2010)の研究は、商品とアスリートのイメージの一致が消費者の購買行動に及ぼす影響を検討したが、アスリートとイメージが一致する対象は商品だけでなく、提供元の企業、ターゲットの消費者層も含まれる(Zdravkovic et al., 2010)。そこで本研究は、企業,ターゲット層という新たなフィットの対象を加え、イメージが一致することで消費者の態度形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。
2. 研究方法
 滋賀県のスポーツ単科大学の学生を対象に、2012年前期,後期の授業を利用した。調査方法としてアスリートが推奨者として出演するスポーツ関連と非スポーツ関連のCMを視聴後、アンケートを355票配布し全票回収した。調査項目は、基本属性、推奨者に対する態度、推奨者とのフィット(ターゲット層,商品,企業)、CMに対する態度、企業イメージ、商品評価,商品関与に関する項目とした。
西田珠里 3. 結果と考察
 図1は、仮説検証の結果である。スポーツ関連では、全ての要因が商品の評価に対して正の影響を及ぼし、企業イメージに対してもターゲット層を除く4要因が正の影響を及ぼした。非スポーツ関連の商品を扱う広告の場合、推奨者と商品イメージのフィット以上に、推奨者と企業イメージやターゲット層とのフィットがより重要であることが示唆された。
4. 結論
 本研究は、企業、ターゲット層という新たなフィットの対象を加えた研究であった。消費者の広告態度を分析した結果、特にこれらの新しい2要因の影響力を、非スポーツ関連の商品によって確認することができた。本研究が今後のアスリートによるエンドースメント研究の一助となることを期待する。

引用・参考文献
Zdravkovic, S., Magnusson, P., & Stanley, SM (2010) Dimensions of fit between a brand and a social cause and their influence on attitudes. International Journal of Research in Marketing, 27(2): 151-160.

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